男性ヘルスケア

泌尿器科疾患について

疾患名をクリックすると詳しい内容がご確認いただけます。

1. はじめに

中高年男性が抱える悩みとして、「性機能の低下」や「疲れやすさ」「やる気の低下」などがあげられます。こうした症状の背景には、「ED(勃起障害)」や「LOH(加齢男性性腺機能低下)症候群」などの男性特有の病気が関わっていることがあります。当科では、男性の健康を総合的に支える“男性ヘルスケア”として、こうした症状に対する診断・治療を行っています。

2.勃起障害(ED)について

ED(Erectile Dysfunction)は、「満足な性交のために十分な勃起が得られない、または維持できない状態が続くこと」と定義されています。日本人男性の40〜70代で、約35%が何らかのEDの症状を抱えていると報告されています。

主な原因

EDは大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
●心因性:精神的ストレス、プレッシャー、うつ状態など
●器質性:糖尿病、高血圧、動脈硬化、神経障害、ホルモン異常など
●混合性:心因性と器質性の両方の要素を含むもの

生活習慣病(糖尿病・高血圧・肥満など)、喫煙、加齢もEDのリスク要因となります。

検査・診断

問診(傍喫障害の質問表)と血液検査に加え、必要に応じてホルモン検査や超音波検査などを行います。性欲の有無、夜間の勃起、既往歴、服薬歴などを丁寧にうかがい、原因を見極めます。

治療法

●生活習慣の見直し:禁煙・減量・運動など
ED治療薬の処方(PDE5阻害薬)
 バイアグラ®、レビトラ®、シアリス®などを症状に応じて処方します。
ホルモン補充療法(テストステロン補充)
 テストステロンの低下が原因と考えられる場合に検討します。
カウンセリング:心因性EDの場合に有効です。
 重度で内服薬の効果がない場合には、注射療法や手術的治療が検討されることもあります。

問診(傍喫障害の質問表)と血液検査に加え、必要に応じてホルモン検査や超音波検査などを行います。性欲の有無、夜間の勃起、既往歴、服薬歴などを丁寧にうかがい、原因を見極めます。

勃起障害の質問票はこちら

(7点以下:重症、8~21点:軽症~中等症、22点以上:異常なし)

3.男性更年期障害(LOH症候群)

加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)が低下し、さまざまな症状が現れる状態を「LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism)」と呼びます。以下のような症状がみられます。

●性欲や勃起力の低下(特に夜間・早朝の勃起が減る)
●疲れやすさ、集中力の低下、気分の落ち込み
●睡眠障害
●筋力の低下、体脂肪の増加
●骨密度の低下、骨折しやすくなる

検査・診断

●血液検査によるホルモン測定(フリーテストステロン)
●LOHスコア(AMSスコア)による問診評価

ホルモン値が低く、症状がある場合に診断されます。

治療法

●ホルモン補充療法(ART)
筋肉注射によるテストステロン補充を行い、3か月間の効果をみて継続を判断します。※前立腺がんや重度の排尿障害がある方には適応外です。

●PDE5阻害薬の併用
性機能が強く障害されている場合に使用します。

●精神的な症状が強い場合は、精神科や心療内科との連携も行います。

4.男性の尿失禁

男性の尿失禁

当院では前立腺癌や前立腺肥大症術後の男性尿失禁に対して、積極的に治療を行っております。軽症~中等症の尿失禁に対しては、外来で骨盤底筋体操の個別指導や薬物療法を行っております。また、1日のパッド使用枚数が3枚以上の重症尿失禁に対しては、人工尿道括約筋埋め込み術を施行しております。この手術は2012年(平成24年)より保険適応となっておりますので、費用は一般的な手術と同等です。尿失禁でお悩みの方は是非一度ご相談ください。

人工尿道括約筋埋め込み術
 
人工尿道括約筋(AMS 800)

使用法に関して、排尿する時には陰嚢内のコントロールポンプを押します。すると、尿道のカフをふくらませていた水が圧力調整バルーンの方へ数秒間で移動し、尿道が開き、尿が出てきます。その後、2-3分かけて移動した水が圧力調整バルーンからカフの方へとまた戻り、尿道を閉め、尿漏れを防ぐ仕組みとなっております。

5.最後に

男性ヘルスケアの問題は、年齢とともに自然に起こるものでもありますが、放置せずに治療することでQOL(生活の質)が大きく改善することが期待できます。「年のせい」とあきらめずに、ぜひ一度ご相談ください。プライバシーにも十分配慮した診療体制を整えております。