当院の特長

当院の特長

患者さまひとりひとりに適した治療を提供いたします

特徴①

泌尿器科では副腎、腎臓、膀胱、精巣を中心に治療を行います。また悪性腫瘍以外にも排尿障害、尿路結石、女性泌尿器疾患(尿失禁、骨盤臓器脱など)、男性不妊、先天疾患、腎移植など多岐にわたります。 慈恵医大泌尿器科では病院の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」に学び、また新しい知見とエビデンスをもとに、患者さまひとりひとりに適した治療を提供いたします。 特に前立腺癌では無治療経過観察、手術、放射線治療、ホルモン療法など選択肢の多い中、患者さまと治療方針を相談し納得される医療を行っていきます。放射線治療は2003年に初めて密封小線源挿入治療が導入され、現在まで1000件を超える治療実績を上げており日本の先駆け的施設です。手術では2004年に腹腔鏡手術が導入され開腹移行した症例もほとんどなく毎年100例近くの患者さまが手術を受けられています。代表的な治療法の推移は以下の通りです。

Minimum invasive

腹腔鏡・ロボット支援手術を中心に、低侵襲な治療を提供いたします。当院では副腎、腎臓、前立腺、膀胱などの手術で9割以上の手術を腹腔鏡・ロボット支援下に行っています。

1.腹腔鏡手術とは?

1.腹腔鏡手術とは?

腹腔鏡手術は全国的に普及された手術方法であります。近年、腹腔鏡手術からロボット手術に移行しつつあるもののロボット手術も腹腔鏡手術の一種であります。腹腔内に二酸化炭素を注入し、腹部に小さな穴をあけて、専用の器械を用いて手術を行います。しかし従来の開放手術と比べより高い技術や知識、腹腔鏡手術のために種々の機器および器具が必要とされます。 現在、我々慈恵医大では、附属病院を筆頭に様々な疾患に対してこの術式を施行しています。

2.腹腔鏡手術の方法について

2.腹腔鏡手術の方法について

腹腔鏡手術の方法について
●出血が少ない
気腹圧により静脈性の出血は抑えられるため、開腹手術よりも出血量は少なく、輸血の可能性が低いといわれています。
●傷が小さい
5mmから15mm程度の小穴を3〜5箇所ほど切開し手術を行います。
●術後の回復が早い
小さな傷跡で術後の痛みが少なく、早期の離床が可能です。

●内視鏡(カメラ)でより拡大した視野を得られ、丁寧で安全な手術が可能です。
●手術チーム全員で同じ視野を共有し、解剖の理解および技術の向上に役立ちます。
●手術は術者(リーダー)、鉗子や吸引管などでアシストする助手、内視鏡で術野を映し出す内視鏡係(スコピスト)による巧みなチームワークが求められます。
●5mmから15mm程度の小穴を3-5箇所ほど開け、鉗子(手術器具)を自由に出し入れするためのトロカーを挿入します。手術中は、より安全に鉗子や内視鏡を操作するために腹腔内を二酸化炭素で気腹します。二酸化炭素の気腹により静脈性の出血が抑えられます。最後に切除した臓器を小穴より摘出し終了します。

このように腹腔鏡は優れた長所がありますが、以下に示すような合併症を起こす可能性もあります。また腸管の癒着が高度で手術操作が困難な場合、および問題が生じた際には、安全に手術を遂行するために開放手術へ移行する場合もあります。

腹腔鏡手術に特有な合併症

1) 皮下気腫
トロカー挿入部周囲から二酸化炭素が皮下に漏出することによって起ります。 多くは、数日で自然に吸収され軽快します。
2) ガス塞栓
気腹に用いた二酸化炭素が血管内に入り、肺動脈に詰まってしまう状態です。 非常に稀ではあるが、重篤な合併症となります。
3) トロカー部への再発・転移
切除した臓器を摘出する際に、トロカーを挿入した部位へ再発・転移を起こすことがあります。 泌尿器科領域での頻度は0.01%との報告があり、非常に稀といわれています。 その他、開放手術でも起こる合併症として、出血、他臓器損傷、術後腸閉塞、創ヘルニア、術後肺塞栓症などが挙げられます。

3.腹腔鏡手術の適応疾患について

●腎癌
腫瘍の大きさ、部位により術式を選択します。一般的には腫瘍径4cm以下で、腎茎部周囲(腎臓を栄養する動脈、心臓へ血流を戻す腎静脈のある場所)に位置しない腫瘍に関しては、積極的に腹腔鏡下腎部分切除術を行っています。4-7cm大の腫瘍に関しては腹腔鏡下腎摘除術を行っています。
●腎盂癌・尿管癌
一般的な術式は腎尿管全摘です。当院では腎摘除を腹腔鏡手技で行っています。
●膀胱癌
膀胱周囲の臓器へ浸潤した進行例を除き、腹腔鏡下膀胱全摘を行っています。尿路変向(尿の出口を変更する方法)は、図のように下腹部に5-7cmの小切開で行っています。
●前立腺癌
一般的には、前立腺周囲へ浸潤した進行例を除き、腹腔鏡下前立腺全摘を行います。
●副腎腫瘍
大きさにより適応を判断しています。一般的には4-5cm大までは腹腔鏡での手術を行っています。
●腎盂尿管移行部狭窄症
成人の症例に対して、腹腔鏡下腎盂形成術を行っています。
3.腹腔鏡手術の適応疾患について
3.腹腔鏡手術の適応疾患について②

4.安全性への取り組み

腹腔鏡手術は、開腹手術同様、高い技術や知識が求められます。当院では、日本泌尿器内視鏡学会が定めた泌尿器腹腔鏡技術認定制度の審査を受け、泌尿器科領域における腹腔鏡手術に関する技術を認定された医師のもとで、すべての腹腔鏡手術を行います。現在関連病院を含め泌尿器腹腔鏡技術認定医は14名在籍しています。 さらに慈恵医大では、より安全な手術を行うために、腹腔鏡手術に係わる医師に、鏡視下手術トレーニングコース試験が義務化されており、合格者のみが実際の手術に参加することが認められております。