泌尿器科疾患について

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副腎腫瘍

1.副腎腫瘍とは

副腎は左右の腎臓の上に一つずつある小さな臓器で、その働きは生命を維持するのに必要な種々のホルモンを分泌することです。副腎から発生する腫瘍には、ホルモンを過剰に産生するものがあり、そのホルモンに応じてそれぞれ特徴的な症状を呈します(代表的なホルモン産生副腎腫瘍を以下に示しました)。また、その頻度は10%以下と低いものの、悪性腫瘍も存在します。手術の適応となる副腎腫瘍は、ホルモン産生副腎腫瘍と悪性腫瘍または悪性が否定できない場合ですが、悪性腫瘍を画像診断で正確に診断することが困難なため、腫瘍径3cm以上はホルモンを産生していない副腎腫瘍でも積極的に手術を勧めています。これらの腫瘍で腹腔鏡下手術の適応は、ホルモン産生副腎腫瘍およびホルモン非産生副腎腫瘍で腫瘍径5cm以下の良性腫瘍としています。

2.代表的なホルモン産生副腎腫瘍

1原発性アルドステロン症

アルドステロンの分泌過剰による高血圧と低K血症に伴う尿量の増加、筋力低下が主な症状です。高血圧の改善率は70~80%です。

2クッシング症候群

コルチゾールの分泌過剰により中心性肥満、満月様顔貌、皮膚線状、多毛、無月経、筋力低下、高血圧、高血糖、骨粗鬆症などの多彩な臨床症状をとります。術後のホルモン補充が必要です。

3プレクリニカルクッシング症候群

コルチゾールの分泌過剰による高血圧、高血糖などを呈することがありますが、クッシング症候群に特徴的な症状は認めません。術後にホルモン補充が必要なことがあります。

4褐色細胞腫

カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の分泌過剰により高血圧、動悸、発汗、頭痛、高血糖、脂質異常症(高脂血症)などの多彩な臨床症状をとります。無症状で偶然に発見されることもあります。家族性、両側性、副腎外性、悪性が約10%存在します。

3.腹腔鏡下副腎摘除術とは

お腹の中に炭酸ガスを注入して膨らませ、皮膚に開けた3~4ヶ所の穴からカメラと細長い手術器具を使用して、体外操作で腫瘍とともに副腎を一塊にして摘出する手術方法です。当院では150例以上の副腎腫瘍手術症例(うち50例が腹腔鏡下手術)を経験しており、患者さまの病状に合わせて開腹手術と腹腔鏡手術の適応を決定しています。手術は全身麻酔と硬膜外麻酔を併用して行い、多くの場合約4時間で終了しますが、副腎周囲の癒着などのため長時間を要することもあり、場合によっては開腹手術に移行する場合があります。

4.腹腔鏡下副腎摘除術の一般的経過

個々の患者さまにより違いはありますが、一般に手術後は以下のような経過をたどります。

1術後1日目

病室で採血、レントゲン写真(胸、腹部)
ベット上での起き上がり、歩行可
腸管の動きを確認して飲水、流動食を開始
尿道の菅を抜去

2術後2~3日目

腹部ドレーン(排液菅)の抜去

3術後 5~7 日目

術後ホルモン補充が必要ない患者さまは、病状により退院可

5.腹腔鏡下副腎摘除術でおこりうる合併症

  • 発熱

    手術侵襲に伴うもので、多くは点滴治療で改善します。

  • 術後出血、副腎周囲臓器の損傷

    多くは安静により改善しますが、再手術により止血や修復を行うことがあります。

  • 深部静脈血栓症、肺血栓症

    下肢の深部静脈に血栓(血のかたまり)ができ、それがはがれて血流に乗り肺の血管が詰まることがあります。
    予防として、手術中から弾性ストッキングを着用します。

  • 創感染、創離開

    創の感染により創離開がおこる可能性があります。糖尿病、肥満の方に発生しやすく、創の洗浄や再縫合を要することもあります。

  • 術後イレウス(腸閉塞)

    手術あるいは麻酔の影響で一時的に腸の動きが悪くなることがあります。その場合、鼻から胃や腸に細い管を入れておく必要があります。

6.手術の入院期間と費用

手術法、病状、術後経過より個々の患者さまで違いがありますが、通常5~14日間の入院治療を要します。入院・手術に伴う費用については健康保険が適用され、3割負担の方のご負担は約25万円です。