精巣には主に男性ホルモンを分泌する働きと精子を作る働きがあります。精巣にできる悪性腫瘍はほとんどが精子を作る細胞から発生します。発生頻度はわが国では1年間に10万人あたり0.7から1.8人です。好発年齢は乳幼児期と青壮年期の二極分化しているところが他の悪性腫瘍と異なるところです。発生原因は不明です。一般には停留精巣という精巣が陰嚢にまで降りていない病気の既往があると精巣腫瘍になりやすいといわれていますが、詳細はまだ不明な点も多くあります。
精巣腫瘍は臨床的・病理学的見地から大きく2種類に分類されます。すなわち、(1)セミノーマ(精上皮種)と、(2)非セミノーマで、非セミノーマのなかには胎児性がん、卵黄嚢腫、絨毛がん、奇形腫があり、これらが混在していることもあります。