●上皮内がんの治療
尿路上皮がんは乳頭状に隆起して発育することが多いのですが、まれに粘膜を広く這うように発育する場合があります。これを上皮内がんといいます。尿管鏡検査などにより上皮内がんと診断された場合、BCG(結核を弱毒化したワクチン)による腎盂内注入療法を行うこともあります。これは同じ尿路上皮がんである膀胱がんでも行われている治療です。
●局所浸潤がんの治療
手術療法、化学療法(術前・術後)、または放射線療法を組み合わせた治療となります。尿路が腫瘍により閉塞され腎機能が低下をきたしている場合は治療に先立って、腎臓に背中から直接、管を留置して尿を出す腎ろう手術を行う場合があります。術前化学療法を行う場合などは、腎機能が大事ですのでこのような処置を考慮します。
●転移がある場合の治療
抗がん剤による化学療法が治療の主体となります。化学療法としては、ジェムシタビン+シスプラチンのGC療法、シスプラチン+メソトレキセート+ビンブラスチン+アドリアマイシンのMVAC療法などの多剤併用化学療法が一般的です。また、局所や転移巣に対して放射線療法が選択されることもあります。
薬物療法:
腎盂・尿管がんに対する抗がん剤の効果は中程度で、腫瘍の悪性度などにより差があります。
放射線療法:
腎盂・尿管がんに対する放射線の効果は中程度ですが、薬物療法と同様に悪性度などでその効果に差があります。転移巣に対して放射線照射を行って痛みの軽減を図ることがあります。