泌尿器科疾患について

泌尿器科疾患について

疾患名をクリックすると詳しい内容がご確認いただけます。

1. 副腎腫瘍の概要

副腎の役割について

副腎は、左右の腎臓の上にそれぞれ一つずつある、小さな三角形をした臓器です。副腎の主な役割は、生命維持に必要なさまざまなホルモンを作り、血液中に送り出すことです。
副腎で作られる代表的なホルモンには以下のものがあります。

1コルチゾール(副腎皮質ホルモン)

ストレスに対抗したり、血圧や血糖値を調整したりします。

2アルドステロン

血圧を調整したり、体内の塩分(ナトリウム)とカリウムのバランスを整えたりします。

3アドレナリン・ノルアドレナリン(副腎髄質ホルモン)

血圧や心拍数を上げ、体を活動的な状態にします。

副腎腫瘍について

副腎腫瘍とは、副腎にできる腫瘍です。多くは画像検査などで偶然発見されますが、ホルモンの影響により高血圧、動悸、肥満、糖尿病の悪化など、さまざまな症状が現れることがあります。
画像検査で偶然見つかる副腎腫瘍のうち、約90%以上は良性(がんではない)で、悪性(がん)の可能性があるのは10%未満です。また、多くはホルモン非産生(ホルモンを作らない)腫瘍ですが、一部はホルモン産生腫瘍(ホルモンを過剰に作り出してしまう)であり、治療が必要になることがあります。

副腎腫瘍ができる理由について

副腎腫瘍ができる正確な原因はよくわかっていません。一部の腫瘍には遺伝的な要素(遺伝子の変異)が関係していることもわかってきています。

副腎腫瘍の頻度について

副腎腫瘍は比較的よく見つかる病気で、検査の進歩により健康診断などの画像検査で偶然発見されるケースが増えています。画像診断などで偶然見つかる副腎腫瘍の頻度は約4%程度と報告されています。(高齢であるほど見つかりやすいとされています。)

2. 代表的なホルモン産生副腎腫瘍について

副腎腫瘍の中には、特定のホルモンを過剰に分泌し、さまざまな症状を引き起こすタイプがあります。代表的なものは以下の通りです。

1 原発性アルドステロン症

副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌され、高血圧や血液中のカリウム低下を引き起こします。主な症状は、高血圧(薬が効きにくい場合が多い)、筋力の低下、疲れやすさ、尿量の増加、のどが渇くなどです。

2 クッシング症候群

副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。
クッシング症候群に特徴的な症状として、顔が丸くなる(満月様顔貌)、お腹や背中に脂肪がつく(中心性肥満)、女性では月経異常や多毛などがあります。糖尿病や高血圧の悪化、骨粗しょう症(骨がもろくなる)、筋力の低下、疲れやすさといった症状が出ることもあります。
手術後は一時的にホルモン補充療法が必要になります。

3 サブクリニカルクッシング症候群

前述のようなクッシング症候群に特徴的な症状はありませんが、軽度にコルチゾールが過剰に分泌されている状態です。はっきりとした症状は少ないですが、高血圧や糖尿病の悪化、骨粗鬆症などを起こすことがあります。
術後、ホルモン補充療法が一時的に必要になることがあります。

4 褐色細胞腫

副腎からアドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモンが過剰に分泌されます。
主な症状は、急な血圧の上昇(動悸、頭痛、発汗、胸の苦しさ)、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)の悪化などです。
約10%のケースで遺伝性、両側性、副腎以外の場所(副腎外性)、悪性の場合があります。

3. 副腎腫瘍の検査と診断方法

副腎腫瘍を正しく診断するためには、主に以下の2つの検査が行われます。
 ① 血液検査・尿検査
 ② 画像検査(CT・MRI・PET検査)

1 血液検査・尿検査

 血液検査・尿検査で、副腎から出るホルモンの量を調べます。腫瘍がホルモンを作っているか、どのホルモンを作っているかを確認します。時間帯や活動量に応じて、ホルモン値が変動するため、基本的には朝一に、安静後に採取します。
 初回の採血や尿検査でホルモンの過剰分泌が疑われた場合、再検査をおこなったり、入院して詳しい検査をおこなったりします。
 この検査を行うことで、腫瘍がどのようなタイプであるかが推定でき、適切な治療計画につながります。

2 画像検査(CT・MRI・PET検査)

 画像検査では、腫瘍の大きさや位置、良性か悪性かの可能性を確認します。
CT検査
 最も一般的な検査方法です。腫瘍の位置、大きさ、形、内部の様子を詳しく観察します。短時間で行えるため、検診などで広く使用されています。
MRI検査
 CTで診断が難しい場合に追加で行われることがあります。腫瘍が良性か悪性かの判別に役立つ場合があります。
PET検査(PET-CT検査)
 腫瘍が悪性(がん)の可能性がある場合に行われることがあります。腫瘍の悪性度や、他の臓器への転移の有無を調べるのに有効です。

  • 発熱

    手術侵襲に伴うもので、多くは点滴治療で改善します。

  • 術後出血、副腎周囲臓器の損傷

    多くは安静により改善しますが、再手術により止血や修復を行うことがあります。

  • 深部静脈血栓症、肺血栓症

    下肢の深部静脈に血栓(血のかたまり)ができ、それがはがれて血流に乗り肺の血管が詰まることがあります。
    予防として、手術中から弾性ストッキングを着用します。

  • 創感染、創離開

    創の感染により創離開がおこる可能性があります。糖尿病、肥満の方に発生しやすく、創の洗浄や再縫合を要することもあります。

  • 術後イレウス(腸閉塞)

    手術あるいは麻酔の影響で一時的に腸の動きが悪くなることがあります。その場合、鼻から胃や腸に細い管を入れておく必要があります。

検査の流れ(まとめ)

通常は以下のような流れで診断が進みます。
 1)健康診断や他の病気の検査時に、副腎腫瘍が偶然発見される
  ※症状が出現してから検査に進む場合もあります
 2)血液検査や尿検査でホルモン分泌の有無を調べる
 3)画像検査(CT・MRIなど)で腫瘍の詳細な評価を行う
 4)ホルモン産生の有無や腫瘍の大きさ・形などに基づいて治療方針を決定する

これらの検査は、安全かつ短時間で行えるものが多いため、ご安心ください。
検査結果については、担当医が丁寧に説明し、適切な治療方法を提案いたします。

4. 副腎腫瘍の治療方法について

副腎腫瘍の治療方法には、主に次のようなものがあります。
 ① 手術療法
 ② 薬物療法
 ③ 経過観察(治療をせず定期的に検査を続ける方法)

1 手術療法

腫瘍を摘出する治療法で、以下の方が対象になります。
・ホルモンを過剰に産生している腫瘍(症状がある場合)
・腫瘍が悪性(がん)または悪性の疑いがある場合
・腫瘍が大きくなってきた場合(一般的に4cm以上もしくは急速に大きくなってきた場合)

2 薬物療法

手術が難しい場合や、ホルモンの過剰分泌を抑える必要がある場合に、薬で治療します。
・原発性アルドステロン症の場合
 降圧薬やアルドステロン拮抗薬(スピロノラクトンなど)を用いて、高血圧をコントロールします。
・クッシング症候群や褐色細胞腫の場合
 手術ができない場合や術前準備として、ホルモンの分泌を抑える薬を使います。

3 経過観察(治療をせず定期的に検査を続ける方法)

以下の場合、手術や薬物療法は行わず、定期的な検査で様子を見ます。
 ・ホルモンを作らない小さな腫瘍(4cm未満)で、悪性の可能性が低い場合
 ・年齢や健康状態を考え、治療のリスクが高いと判断される場合
3〜6ヶ月または1年ごとに、血液検査や画像検査(CT、MRI)を受けて腫瘍の変化を確認します。
経過観察の期間に関しては、本邦や欧州のガイドラインでも相違があり、明確な基準は定まっておりません。担当医が患者様の状態をみながら判断いたします。

5. 副腎腫瘍の手術について詳しい説明

副腎腫瘍の手術には、「腹腔鏡手術/ロボット支援下腹腔鏡手術」「開腹手術」の2つの方法がありますが、多くは「腹腔鏡手術/ロボット支援下腹腔鏡手術」で行います。
当院では、年間で平均して20例を超える手術を行っております。

腹腔鏡下副腎摘除術/ロボット支援下腹腔鏡下副腎摘除術

腹部に3〜4ヶ所の小さな穴を開け、そこからカメラや細長い手術器具を挿入して、腫瘍と副腎を摘出する方法です。開腹手術と比較し、創部が小さく術後の回復が早いというメリットがあります。腫瘍が大きい場合は開腹手術でしか行えない場合があります。
担当医が、患者様の腫瘍の大きさや性質、年齢や全身状態を考慮して、どちらの手術方法が適しているかを判断します。手術前には必ず患者様と相談して、最も適切な方法を決定しますのでご安心ください。
手術に関して不安や疑問があれば、遠慮なく担当医にお尋ねください。

6. 術後の経過・生活への影響

術後1日目
採血・レントゲン、飲水・流動食開始、歩行開始、尿道カテーテル抜去

術後2〜3日目
排液チューブ(ドレーン)を抜去
採血・レントゲン

術後4〜7日目
ホルモン補充が不要であれば退院可能

  • ホルモン補充療法

    クッシング症候群や一部の症例では、手術後にステロイドホルモンの補充が必要になります 内分泌内科と連携し、退院後も外来で慎重に管理します。

  • 日常生活での注意点

    ・術後1〜2週間は激しい運動を避け、傷の清潔を保ちましょう。
    ・ホルモン補充中の方は、処方された薬を忘れずに内服してください。