精巣腫瘍

泌尿器科疾患について

疾患名をクリックすると詳しい内容がご確認いただけます。

精巣腫瘍

1.精巣(睾丸)腫瘍とは

精巣には主に男性ホルモンを分泌する働きと精子を作る働きがあります。精巣にできる悪性腫瘍はほとんどが精子を作る細胞から発生します。発生頻度はわが国では1年間に10万人あたり3.9人です。20~40歳代が多いですが、50歳以上にも発生します。精巣腫瘍の大部分を占める精巣胚細胞腫瘍は、病理組織学的所見や経過の特徴から、“セミノーマ”と、セミノーマ以外の成分を含む“非セミノーマ”の2種類に分類されます。非セミノーマを構成するものには胎児性がん、卵黄嚢腫、絨毛がん、奇形腫などがあります。セミノーマとそれ以外の成分を含む場合は、非セミノーマに分類されます。

2.精巣腫瘍の診断

診断と治療をかねて患側の精巣を摘出する手術を行います。
精巣腫瘍は多くは患者さん自身が痛みを伴わない精巣の腫瘤に気づくことで発見されます。診断は超音波検査、血液検査(腫瘍マーカーとして、HCG、AFP、LDHなど)、CTスキャンで行われますが、明らかに精巣腫瘍かどうか不明であっても、否定ができない場合は手術をおすすめすることがあります。

3.精巣腫瘍の治療法

セミノーマでは早期に発見され転移がない場合、根治するケースが多く、組織検査の結果にもよりますが、CTスキャンと採血を中心とした経過観察を行います。術後補助化学療法や放射線治療を行うこともあります。
転移があっても化学療法を併用することにより5年生存率約88%、5年非再発率約80%です。
非セミノーマ転移を来しやすいため化学療法や後腹膜リンパ節郭清術を行うことがあります。転移がある場合5年生存率約89%、5年非再発率約78%ですが、腫瘍マーカーの上昇が著しい場合や、肺・リンパ節以外の転移がある場合は5年生存率約67%、5年非再発率約54%です。

早期の前立腺がんであれば、年齢や身体的な条件はあるものの、多くの患者さんは以下のような様々な治療法を選ぶことが可能となります。しかし、前立腺がんが進行すると骨盤のリンパ節や全身の骨に転移し、この場合には全身的な効果が期待できるホルモン療法が中心となり治療法が限られてきます。

病期Ⅰ期
腫瘍が精巣、精巣上体、精索に限局して、他に転移がみられないもの。多くの場合、追加治療を行わずに慎重に経過観察をします。
病期Ⅱ期
横隔膜以下の腹部大動脈周囲のリンパ節に転移があるもの。抗がん剤治療を3から4コース行います。1コース約3週間を要しますが、慈恵医大ではすべての期間入院していただくわけではなく、多くは1コースごと退院していただいています。セミノーマの場合には放射線治療が選択されることもあります。また、これらの治療後に手術によってリンパ節を摘除(郭清)することがあります。
病期Ⅲ期
横隔膜より上のリンパ節転移がある、もしくは肺や肝臓などの遠隔転移があるもの、または腫瘍マーカーが陰性にならないもの。十分な抗がん剤治療とリンパ節郭清などを組み合わせた集学的な治療が行われます。

4.治療成績

精巣は左右あるため片側を摘出しても対側が正常であれば精子や男性ホルモンをつくる働きは残りますが、抗癌剤治療を行う場合は精巣にダメージが及びます。治療開始前に精子の凍結保存を選択することができます(保管料がかかります)。