ロボット支援手術

手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた手術について

当科では、患者さんへの負担が少ない、より精密な治療の提供を目指し最先端の医療技術であるロボット支援手術を導入しています。また当院の医師および医療スタッフは、これまでの知識と経験に基づき、細心の注意を払い、個々の患者さんにとって最善と考えられる治療を提供するよう日々努めております。
ダビンチ手術
ダビンチ手術1

ロボット支援手術とは

ロボット支援手術は、医師が手術支援ロボット「ダビンチ」を操作して行う内視鏡手術の一種です。患者さんの体には数カ所の小さな切開部を作り、そこから3Dカメラとロボットアームに装着された特殊な鉗子(かんし)を体内に挿入します。
執刀医は、手術台の隣に設置された「サージョンコンソール」と呼ばれる操縦席に座り、高精細な3D画像で術部を拡大視しながら、ロボットアームを操作します。このロボットアームは、人間の手首以上の可動域を持ち、手ぶれ補正機能も備えているため、従来の腹腔鏡手術よりもさらに繊細で正確な手術操作が可能です。

対象疾患

東京慈恵会医科大学附属病院では、主に以下の泌尿器科疾患に対してロボット支援手術を行っております。

1. 前立腺がん(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術)
2. 膀胱がん(ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術)
3. 腎がん(特に小径腎がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術)
4. 腎盂尿管がん(ロボット支援腹腔鏡下腎尿管全摘除術)
5. 腎盂尿管移行部狭窄症(ロボット支援腹腔鏡下腎盂形成術)

これまでの治療成績

・ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術

ロボット支援前立腺全摘除術手術件数

・2019年導入以降、ロボット支援前立腺全摘除術の手術件数推移です。
コロナ禍においても毎年手術件数は増加しております。
これまで2021年12月までに輸血例はありません。安全に施行できております。

・合併症のリスクは常にどの手術にもありますが、より安全に行う体制を整えています。

ロボット支援手術の利点・効果

低侵襲性: 小さな切開で行うため、手術による傷が小さく、術後の痛みが軽減され、回復が早いことが期待できます。また、出血量も少なく抑えることができます。
精密な手術: 拡大された3D視野と精密な鉗子の動きにより、複雑な手技もより正確に行うことができます。これにより、がんの根治性を高めるとともに、周囲の正常な組織や神経の温存にも貢献し、術後の機能回復(例えば、前立腺がん手術における尿失禁の早期改善や性機能温存など)の向上が期待できます。手術の効果やリスクの程度は、患者さん一人ひとりの病状、年齢、既往歴、全身状態などによって異なります。
安全性の向上: 手ぶれ補正機能などにより、より安全な手術遂行が可能となります。一方で全ての医療行為と同様に、ロボット支援手術においても、期待される効果が得られない可能性や、予期せぬ合併症が発生する確率はゼロではありません。

ロボット支援手術「ダビンチ手術」においては、手術支援ロボット「ダビンチ」を製造するIntuitive Surgical(インテュイティブサージカル)社の認定資格制度に加え、当院独自の厳格な承認システムを設けております。腹腔鏡手術と同様に、院内の専門委員会による承認を得た医師のみが執刀を担当いたします。

どの治療法が適しているかなど、ご不明な点がございましたら、当院外来の専門医にご相談ください。他の病院やクリニックからお越しの場合は、紹介状をお持ちいただけますと診療がスムーズです。ご協力をお願いいたします。